企業間の支払いサイトも金利と密接に関係している

企業間の支払いサイトも金利と密接に関係しているマネー

前回の記事では、お金持ちが何故借入を多くするのかということと、金利と時間との関係や重要性を書きましたが、今回はその金利と時間に関係する部分で「支払いサイト」について少し具体的なお話をしてみたいと思います。

商取引をしている事業者や企業の経営者の方でも、意外とこの事実に気づいていないかもしれません。あまり意識されないかと思いますが、実はとても重要なポイントです。

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支払いサイトの性質を知れば儲ける方法がわかってくる

支払いサイトというのは、企業同士の取引においてよく出てくる言葉ですが、ある取引における対価を発注者請負者に支払うまでの猶予期間を言います。企業間が取引をするにあたり、最初に支払いサイトを決めておく必要があります。

建設関係であれば、工務店材料販売店の取引関係があります。工務店は建物を建てるお客様から工事を受注し、建物を完成させる過程で各工事に必要な材料を材料販売店から仕入れます。

お金の流れはと言うと・・
お客様(施主)→工務店→材料販売店

となるわけですよね。材料販売店は工事材料を納品して、その代金を工務店に請求します。そのため、初めて取引する場合は両者の間でいつ代金を支払うのか、支払ってもらえるのか、を確認しておかなければいけません。「御社のお支払い条件はどのようになっていますでしょうか?」と材料販売店が工務店に聞くのは、支払いサイトを確認するためです。

通常私達が飲食店で食事をしたり、スーパーで買い物をすれば、それと同時にお金を支払いますが、取引契約を交わしている企業間の支払いは、即時支払いというケースは少なく1ヶ月程度、或いはそれ以上の期間を経過した後に支払われるケースがほとんどです。

一般的な支払いサイトとしては、月末締めの翌月末払い、であったり、20日締めの翌月末払いであったりしますが、これらの取り決めは工務店の都合に合わせる場合が多く、材料販売店は「材料を買ってもらう」という立場のためか、頭を下げてでも「それで結構です」と、元請け業者の都合や取り決めに合わせる場合が多いです。

仮に20日締めの翌月末払いであった場合、工務店が材料販売店に材料を注文し、納品されてからその代金を支払うまでの期間はどれくらい先になるでしょうか?例えば21日に材料を買ったとします。その代金の支払いは翌月の20日に締めて、翌々月の末日に支払うことになりますよね。材料販売店はその材料を納品して、受け取る代金は約70日後となります。

建設関係で例えてみましたが、どの業種でも同じことが言えます。元々日本ではこのような企業間の支払いサイトが通常とされているため、請負者は文句なくそれに応じているのが現状です。

しかし・・・

金利と時間の関係を意識して、支払いサイトの性質を知る

銀行からお金を借りるとその借りた日から利子が発生しますよね。前回の記事で書いたようにお金を借りるということは、そのお金を自由に使う(運用する)時間をもらったことと同じなので、そのもらった時間に対する手数料という利子を払う必要があります。

同じように、本来なら発注者は請負者に代金を払うところを60日や70日、それ以上後に支払うということは、言い換えれば、請負者にその代金を期日まで払わずに借りている、ということです。その代金は請負者のものなのに、発注者は利子を払わずに期日まで自由に使うことができるのです。

経理上は売掛金といって、期日が来たらもらう予定のお金のことを言いますが、請負者は、この売掛金が大きいほど、そして受け取るまでの期間が長いほど金利を多く負担していることになるのです。

例えば発注者が請負者に対して、1,000万円分の取引をしたとします。支払いサイトが60日だった場合、本来請負者が受け取る1,000万円は2か月後にならないと自由に使えないのです。その間の金利を仮に3%とすると、2ヶ月分の利息は5万円これは発注者が請負者から5万円の値引きをしてもらったか、請負者の利益をむしり取っているのと同じことになるのです。

銀行から借金をすれば金利を取られます。しかし企業間の契約で支払いサイトを長くすれば、長い分だけ発注者側は金利分「得」をすることになります。逆に請負者は、60日若しくはそれ以上金利ももらわずに「損」をしていることになります。

請負者は、受け取りの期日が来るまでは、すぐにしなければいけない支払いをそのお金ですることができないため、新たに銀行から借入をすることになります。そうすると、請負者は金利分を損するだけでなく、銀行に対して利子を払わないといけなくなりますよね。請負者の負担は相当大きいと思います。

結論、支払いサイトを意識すれば・・・

結論はもう簡単です。発注者側は支払いサイトを出来る限り長くする。そうすることで支払い期日までの金利分得をして、設備投資や資金繰りに自由が利くようになります。支払いサイトを長くして更に手形で支払い、これは何とも発注者側としては非常に有利なわけです。

請負者側は支払いサイトを出来る限り短く、或いはサービスの提供と同時支払いか前払いにしてもらう。そうすることで銀行からの不要な借入も含めて金利負担が減り、日々の資金繰りも容易になる結果となります。「お支払いはいつでも結構ですよ」なんて言ってられませんね(汗)

金利と時間は密接に関係している、と前回言いましたが、この例からもわかるように金利と時間を常に意識することは、投資においてもビジネスにおいても成功するためには不可欠な要素なのです。

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