仮想通貨のアービトラージをほとんどの人がしない理由

仮想通貨のアービトラージをほとんどの人がしない理由仮想通貨(暗号通貨)

今回は私が普段実践している、仮想通貨のアービトラージについて書いてみようと思います。私はこのアービトラージが得意ですが、仮想通貨取引では一般的なトレードをしている方がほとんどだと思います。なぜアービトラージをしないのか、今回はその理由を中心にして見ていきたいと思います。

仮想通貨でのアービトラージについて、皆さんがおそらく知りたいと思っていることをほぼ全て網羅しましたので、アービトラージをやってみたい、気になる、もっと詳しく知りたい、という方は参考になると思います。

仮想通貨のアービトラージをほとんどの人がしない理由

私は仮想通貨の売買で「アービトラージ(arbitrage)という手法を使って普段利益をいただいております。もちろん相場の動きによって利益の大きな日もあればゼロの日もあります。アービトラージという性質上、マイナス収支になった日はこれまで一度もありません。

過去に1回の取引で出た利益最高額は26万円。もうだいぶ昔のことですが、今は流石にこれだけの利益を狙うのは不可能ですね。アービトラージというのは小さな利益をコツコツと積み上げるのが一般的な手法で、1回の取引での利益が500円~1,000円のときが多かったりしますが、それでも1日に何十回と繰り返すのでそこそこ大きな利益になっていきます。

そんなアービトラージですが、実際にされている方は非常に少ないと思われます。アービトラージのことを勉強して実践しようとされた方でも結局はしない、若しくは出来ないと判断されるようなケースが多いように思われます。

ではなぜそうなってしまうのでしょうか?仮想通貨におけるアービトラージについてこれから掘り下げていこうと思います。

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アービトラージの本来の意味とは?

そもそもアービトラージというのはどういう意味なのでしょうか?この言葉は仮想通貨取引が数年前と比べて盛んになり始めてからよく聞くようになりました。

アービトラージの別名を「裁定取引」と言い、一般的な認識では「利ざやを抜く方法」であったり、「安いところで買って高いところで売る方法」というふうな意味で、仮想通貨関連のどの記事をみてもそのような説明がされています。

しかし、実際には仮想通貨取引で言われているアービトラージと、本来のアービトラージの意味とでは大きな違いがあるのです。そんなことどうでも良いよ!っていう方は読み飛ばしてくださいね(汗)

裁定取引(アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。SMBC日興証券のHPより

違いがわかるでしょうか?本来のアービトラージの意味は上記のように、同じ価値を持つ商品に一時的価格差が生じたタイミングで売買を行うことです。例えば株なら現物と先物で一時的な価格差が生じた場合、安いほうを買って高いほうを売っておきます。

その後、両者の価格は次第に近づき、価格差がなくなったところで反対売買を行います。安く買った方を売却して高く売った方を買い戻すということですね。こうすることで利ざやの分だけ必ず利益が発生します。これが本来のアービトラージの手法です。

ビットコイン(BTC)を安い取引所で買って、別の高い取引所で売るのとではやり方そのものが違いますよね。

取引回数取引に要する時間
仮想通貨でのアービトラージ2回実行したら即終了
本来のアービトラージ4回価格差がなくなるまで時間を要する

このような違いから、仮想通貨で言われているアービトラージは本来のアービトラージとは異なる意味で使われている、と理解しておけば良いと思います。アービトラージや裁定取引って何となく名前がカッコいいですが、上記の違いを知らずに使っていたら逆にカッコ悪いことになるので注意が必要です(笑)

私も仮想通貨の取引では、それを理解した上でアービトラージという言葉を使っていますのでご了承ください。因みに仮想通貨でのアービトラージは1取引での売買回数が2回と書きましたが、私は2回でなく3回と少しばかり特殊なやり方をしています。これについてはまた書く機会があれば書こうと思います。

アービトラージャーによって価格の整合性が保たれている

仮想通貨の取引所は世界各地に多くあり、日本だけでも現在20社ほど営業されています。取扱いされている仮想通貨の種類は各取引所によって異なりますが、同じ仮想通貨でも取引所によって価格が違うのはなぜなのでしょうか?

株の取引きであれば、例えば野村証券で売買しようが大和証券で売買しようが売買するタイミングが同じならその株価はどちらも同じなはずです。PTSや相対取引をする場合等、例外もありますが、基本的には東証一部の株なら東京証券取引所を通して売買されるので、証券会社が異なれば株価が違う、といったことはありません。

しかし仮想通貨の場合は、各取引所がそれぞれ個別に取引環境を用意しているので、A取引所で売買されている価格とB取引所で売買されている価格に差があって当然なのです。

ですが、どの取引所を見てもほぼ同じ価格で相場が動いていますよね?取引所ごとに取引されているのだから価格が全然違うところがあってもおかしくないのでは?と思われるかもしれません。実際に取引所間で大きく差が出ることもありますが、それも時間が経つにつれ次第に差がなくなっていきます。

この取引所間の価格の差は、アービトラージによって徐々に埋められていくのです。アービトラージをする人のことをアービトラージャーと呼んでいますが、彼らがいる限り取引所間の価格差が永遠に続くことはありません。アービトラージャーのほとんどは機関投資家だと言われています。

アービトラージによって取引所間の価格差がなぜなくなるのか、について説明します。

C取引所でビットコインを今なら1枚80万円で買える
B取引所でビットコインを今なら1枚81万円で売れる

アービトラージャーはC取引所でビットコインを買えるだけ買います。ここで「買えるだけ買う」というのがポイントです。そしてB取引所で買った分と同じ枚数を売ります。ここでも「買いと同時に売る」というのがポイントになります。

仮想通貨アービトラージのやり方を説明しているサイトの多くは、

C取引所で買う→B取引所に買った分をすぐに送金する→B取引所に着金したらすぐに売る

というような説明がされているのを見かけますが全く話になりません。それをするとただの取引になってしまいます(笑)送金している間に価格が変動するリスクがあるので注意すると書かれていますが、そのリスクをゼロにするのがアービトラージの手法なのです。

B取引所で買いと同時に売るためには、予め売る分をB取引所に用意しておかないといけないということです。そうすることで送金を急いでする必要はなくなるわけですね。

アービトラージの売買手法

このように、アービトラージャー達は安い取引所で買えるだけ買って、高い取引所でその分を同時に売ることになります。すると安い取引所の価格は上がる方向に、高い取引所の価格は下がる方向に向かい、両方の取引所の価格差が縮小していくのです。

各取引所間の仮想通貨の価格は多少差があるとしても、普段はそれほど大きく価格差が開いていないのはこのようなアービトラージャー達の動きがあるからです。

アービトラージは勝率100%って嘘?本当?

では実際、アービトラージの手法を勉強して実践してみようかと思っている方の中には、このような疑問があるのではないでしょうか?

「アービトラージの手法は勝率100%なのか」

という疑問です。単刀直入に答えを言うと、仮想通貨でのアービトラージの手法は勝率99%です。但し、当然ですが売買の操作を間違えないことが前提となります。

理論的には100%と言いたいところですが、実際私がこれまで何千回と取引を繰り返しての結果が勝率99%なのです。100回繰り返すと1回マイナスが出るか出ないかです。日単位の収支でみると勝率は100%です。

では、残り1%の確率で出るマイナスとはどのようなケースなのでしょうか?

ケース1.売買と同時のタイミングで価格が急騰若しくは急落したとき
ケース2.注文した成行売買が取引所システムのエラーで約定しなかったとき

ケース1は、2つの売買を同時にするものの、まさにそのタイミングで急騰若しくは急落が起こり、片方は狙い通りの価格で約定し、もう片方は予期しない価格で約定してしまうというケースです。これは小さな価格差を取りにいっているときに稀に起こるケースです。

ケース2は、価格の上昇又は下落の勢いが激しいとき、取引所には注文が殺到することになるのですが、このようなときに価格差が生まれやすく、アービトラージのチャンスともなります。しかし同時に注文が殺到するタイミングでもあるので、取引所システムの負荷が高まり稀に成行の注文が約定しないといったケースがあります。

ケース1と2は自分の操作が間違っていなくても起こってしまうもので防ぎようがありません。ですが、どちらのケースであっても発生頻度は非常に低いので問題視するほどのものではありません。

人為的なミスによってマイナスになるケースは次のようなものです。

ケース3.目視を見誤って間違った数量、価格で注文を入れてしまう
ケース4.買いのボタンと売りのボタンを間違って逆に押してしまう
ケース5.取引所の残高の確認不足で片方の注文だけ約定してしまう

間違ってしまった場合は、その間違いを修正するための注文をすぐに出さないといけません。例えば、入力した価格が1桁入力が足りなかった場合(ゼロが1個足りなかった場合等)、差額を計算して追加注文しなければいけません。仮想通貨は小数点以下を含め、桁数が多いので入力は慎重にしないとついうっかり間違ってしまうといったことがあります。

そしてすぐに修正の注文を出さないと、価格が動いてしまった時に取引所間で価格差が無くなり、逆にマイナスになる場合もあります。反対に時間が経つことで更に価格差が開いて有利に約定することもありますが。しかし、アービトラージはリスクをゼロにする手法ですので価格差が開くのを待つなんていうことは絶対せずに、すぐに修正の注文を行うべきなのです。

私はこれまで何千回とアービトラージを繰り返してきた中で、買いのボタンと売りのボタンを間違えて逆に押してしまったというのが、過去に一度だけありました。あのときは数字が合わず何がどうなったのか原因がわからず混乱してしまったという、苦い思い出でしたね(笑)

アービトラージの勝率については、このように売買の操作さえ間違えなければ勝率は99%、ほぼ100%と考えて良いのです。

アービトラージをしない人の理由

仮想通貨のアービトラージの手法は操作さえ間違えなければ勝率がほぼ100%だということを理解してもらえたと思います。アービトラージのことを全く知らない人からすれば100%なんてあり得ないと思われるかもしれませんが、それが実際に存在する手法なのです。

ではなぜ、勝率ほぼ100%のアービトラージをする人は少ないのでしょうか?ビットコインFX等のトレードをしている人はたくさんいますが、アービトラージをやりまくっていると言った人は私の周りでもほとんど聞きません。

仮想通貨現物のトレードにしても、ビットコインFXにしても、損失が出るかもしれないというリスクがあります。一方アービトラージにはそれがありません。ですので私は一般的なトレードは一切せずにアービトラージだけを行っています。

一般的なアービトラージの手法は特に難しいわけではありませんが、以下のような理由からされる人が少ないのだと思われます。

・複数の取引所の口座を開設して資金を振り分けたりするのが嫌
・少ない資金では利益も少なそうだからやろうとは思わない
・取引所間の価格差がいつ開くかわからないからずっと見てられない
・送金を繰り返したりするのが失敗しないか心配で嫌

普通のトレードなら上記全て当てはまらないですよね。これらはアービトラージをする場合に限り、付いてくるものです。逆に上記のような条件をクリアできるのであれば、アービトラージを本格的にやることは可能だと思います。

アービトラージをやり続ける場合、取引所間で仮想通貨の送金を繰り返すことになりますが、送金だけは絶対に間違えてはいけないところです。私も送金だけは念には念を入れていつも慎重に行っていますが、これまで送金で失敗したことは過去に一度もありません。

利用取引所数利益損失必要資金送金作業
一般的なトレード1箇所で可少~不要
アービトラージ複数箇所必要中~必要

アービトラージの自動売買ソフトは本当に稼げるのか?

アービトラージに興味があるけど、するための条件をクリアするのが難しい、でも何とかやってみたい、と思う方も中にはおられると思います。そういう方に向けて、アービトラージの自動売買ソフトを販売しているところがあったりします。

安い取引所で買って、高い取引所で売る作業をプログラムにより自動でしてくれるのです。もちろんその取引所に必要残高を用意しておかなければいけませんが。取引所から個別ユーザーに発行されるAPIというキーがあり、これをそのソフトと連携させることで設定に基づいた売買を自動でしてくれるようになります。

自動売買ソフトであれば勝手に売買してくれるので、ずっと画面を見ていなくても良いですし、売買のタイミングも自動で拾ってくれるので、そんな便利なソフトがあれば欲しいですよね?(笑)実はそんなソフトを入手した友人がいるのですが、実際に使ってみて利益はほとんど出なかったということです。

なぜほとんど利益が出なかったのでしょうか?実際に取引所間で価格差が生じたときにそのソフトが注文を実行するはずなのですが、すぐにはせず一定時間おいてから、そしてその取引回数にも制限が設けられていたということでした。

なぜこのような制限が入っているのかというと理由は簡単、ソフト製作者本人の取引を優先させているためです。アービトラージをする人口が増えればそれだけ価格差の縮小が加速するので、何度も取引させるとこちらの具合が悪くなるからです。

価格差の縮小が加速すれば利ざやを取る機会が減ってしまいます。要するに、アービトラージャーは、同じことをする人が少ないほど自分に取って有利なのです。自分の取り分が他の人に取られてしまうといった感じですね。

それなのに自動売買ソフトをアービトラージをする側が提供するというのはおかしな話ですよね。こういったソフトを売っている目的は、そのソフトの売上で儲けたいだけ、若しくはほとんど使えなくなったアービトラージの手法を儲かると見せかけて売っているだけにすぎないのです。

アービトラージを本格的にやっている人、または機関投資家達はAPIを用いて独自の自動売買ツールを開発して、それを自分達だけで稼働させています。本当に稼げるソフトは決して販売されることはありません。何度も言いますが、同じことをする人が増えると自分たちが不利になるからです。販売されるときはその手法が使えなくなったときです。

本当に稼げるアービトラージ自動売買ソフトが販売されるということはあり得ないので、そういう話があっても絶対に信じ込まないことです。アービトラージャーが仲間を増やすのはおかしな話なのです。

まとめ

私自身がアービトラージを実践しているため、ここまで書かなくても良いかなと思うこともあったのですが、勢いで色々と書いてしまいました(汗)おそらくここに書いたことは、他のサイトで知ることはないと思います。

上級者トレーダーからすると「サヤ取りのアービトラージャーなんて小さな利益を拾うようなつまらないことをしてるな」、なんて思われているかもしれませんが、私からすればトレーダーのように大きなリスクを取ってやろうという考えは全くありません。

アービトラージャーがいなければ日本だけでなく、世界の仮想通貨の価格がバラバラになってしまいます。逆にアービトラージャーが多ければ多いほど、価格差は開きにくくなると言えます。

ですので個人のアービトラージャーにしても取引のスキルが必要になったり、サヤを取るのが難しくなってきているのも事実で、ちょっとアービトラージをやってみようかな、というノリで簡単にできるものではなくなってきているのも事実だと思います。

安い取引所で買って高い取引所で売る、と至ってシンプルではありますが、実はこれをベースにして複雑な手法に変えていくことが出来たりするのです。そういった手法を独自で完成させ、APIを利用して自動売買化した動きが各取引所で見られるのです。

今回は、仮想通貨のアービトラージについて解説してきましたが、取引の世界でアービトラージャーが今どのような動きをしているのかを探れば、短期的な動きが買いか売りかわかる場合もあるので、そのあたりを意識して売買してみても良いかもしれませんね。

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