私の取引先で、建築と不動産経営でガッツリと儲けているN社長がいます。その社長の稼ぎ方があまりにも効率が良いのでご紹介したいと思います。建築不動産業だけでなく他の業種でも考え方は同じかもしれません。土地や家を購入するお客様目線でなく、我々業者側の立場から書いています。ご了承くださいませ・・(笑)
建築と不動産を手掛けるN社長が仕事する上でいつも意識されているのが、効率といくら儲かるのか、です。まず効率の悪い仕事はしません。仕事の話が入っても、それが手間のかかる仕事だと判断すればすぐに断ってしまいます。
お客様から仕事の依頼が来た時に普通の対応なら、「何でもやらせていただきます!」と言ったりしますよね。それって本当に適切な対応でしょうか?これまでに私は、この対応で幾度となく痛い目に会ってきました。
「何でもやらせていただきます!」と言うところまでは良いですが、本当に引き受けるかどうかはよく考えて、効率が悪いと思えばそのあと断れば良いのです。「損して得取れ」とよく言われてきましたが、私の経験では損はしてもそこから一度も得をしたことはありません。
ビジネスである以上、損は極力しないで得をしなければいけません。損をしてもその先得をするのかわからないようであれば最初からしないほうが良いです。それでなくてもビジネスで損することはよくあることですから・・。
とにかくN社長は無駄な動きをすることが嫌いで、その仕事が効率よく儲かるのかどうかを判断する目利きが半端ではないのです。周りから仕事をさせられているのではなく、こちらから仕事を選んでいるのです。
一つの案件に対して、この仕事は経費や税金がいくらかかって最終的にいくら儲かるのかを試算するのは当然のことですが、それに加えて自分がどれだけの労力や手間をかけないといけないのか、ということも、その案件を引き受けるかどうかの判断基準とされています。
自分でする仕事を必要最小限にする
例えばどのような仕事をされているのかというと、1,000万円台の不動産物件を購入し、リフォームしてから売る。この仕事で自分がすることは交渉のみです。これだけで1件につき約200万円~300万円の利益を出しています。
【自分がする仕事】
・物件の購入時と売却時の値段交渉
・リフォーム代金の交渉
・銀行融資の交渉(必要な場合)
【人に頼む仕事】
・優良物件の調査と客付け
・リフォーム工事
・売買契約等書類作成、重要事項の説明
自分がする仕事より、人に頼む仕事のほうが時間と手間が何倍とかかりますよね。要するにお金の交渉をしっかりして、全体の流れを抑えておけば、あとは人に任せることによって自分は必要最小限の手間で儲けているのです。非常に効率が良いといえます。
しかし自己資金も必要で、銀行との実績もなければ交渉も簡単にはいきません。いきなり誰でもできるものではないですが、これまで無駄だと思う仕事は避けつつ、効率を考えてコツコツとされてきたから今の結果が出ているのだと思います。
リフォーム工事も自分でやろうと思えばできるのですが、これも丸投げです。自分でするとリフォーム費用も安く済んで儲けが膨らみますが、効率を考えると、自分でその時間を使うのは勿体ないというのです。
その分値段交渉を有利に進めたり、また別の案件にとりかかっていたほうがもっと儲けが膨らむのです。因みに「丸投げ」と言うとあまり良くないイメージがあるかもしれませんが、お客様対応はしっかりされているので全く問題ありません。
一人で必要最小限のものしか持たないメリット
一般的な建築・不動産会社は、莫大な経費をかけながら営業をされています。人件費、広告宣伝費、会社の固定費、設立時に必要な設備資金の借入金等、これらを仕事した粗利の中から支払って、最終的にいくら残るかです。税金も払わないといけません。
しかしその大変さがわかっているN社長は、無駄な経費を一切かけません。人を雇わないことによって、給料の他に雇用保険や労災保険、高額な社会保険を払わなくて済みます。人が必要なときは外注すれば良いのです。そうすれば大変な社員教育も必要なく、そのときだけ来てもらうほうが安くつきます。
建築や不動産の仕事をしているのに、ダンプや軽トラを一台も保有していません。車両を保有すれば自動車税や保険が必要になってきます。車検やメンテナンス費用も馬鹿になりません。しかし工事を丸投げすればこちらでトラックを用意する必要はありません。
工事現場の残材や廃棄物も持ち帰って処分することなく全て外注先がします。こう言ってしまうとただのブローカーでは、と思われるかもしれませんが、お客様に対してしっかり元請けとして対応されています。
必要なものはお客様に失礼のないような店構えと固定電話、エアコン、インターネットくらいです。とにかく無駄なものがなく、ゴチャゴチャしていないので清潔で居心地も良いです。
多くの従業員を雇い入れて、資金投下して体制を整えても成功する建築会社、不動産会社はほんの一握りです。私の取引先やライバル会社をみても、ほとんどの会社は経費倒れになっている、若しくはギリギリのラインでつないでいるのが現状です。
N社長はそんな当然と思われるやり方に捕らわれないで、効率を重要視して自分なりの仕組みを作り、やり方を徹底しているところがすごいと、いつも感じています。尊敬する社長の一人です。