保証協会融資とプロパー融資の大きな違い

マネー

私も銀行から会社の運転資金、設備資金で保証協会融資とプロパー融資のどちらも受けていますが、最初の頃は銀行との交渉もうまく出来ないまま、銀行員の出す条件をそのまま鵜呑みにして融資を受けていました。意外と会社の借入は金利も確認しないまま、銀行員も金利には触れずに申し込みを取っていたものです。

一番やってはいけないことを昔はやっていました。中小企業は銀行との交渉が重要ですのでしっかりと融資制度の仕組みを抑えておくべきです。起業して間もない経営者は保証協会融資とプロパー融資の違いを知って、プロパー融資を受けれる企業体制にする努力が必要です。

保証協会融資は少額にするか極力受けないほうが良い

会社を経営する以上は銀行との付き合い(取引)は必須です。ですが、銀行は晴れの日に傘を貸して雨の日には傘を貸してくれませんよね。会社経営が良好なときは、借りる必要もない融資を持って来るのですが、経営状態が悪化し、いざ借りたいというときに頼んでも担保の確認や保証人の確認をするなど、すぐには融資してくれません。

銀行も商売なので、お金を貸してキチンと戻ってくるところに積極的に融資を持ちかけるのです。そういうところには比較的、プロパー融資を出してもらいやすいですが、一般的には保証協会融資を勧められます。

保証協会融資・・・保証協会に保証料を払って万が一のときに保証してもらう
プロパー融資・・・保証協会を利用せず銀行独自の判断で融資する

ちょっと簡単に言いすぎましたが、プロパー融資は100%のリスクを銀行が負うのに対して、保証協会融資はリスクゼロ、若しくは数%~数十%のリスクのみ銀行が負います。ですので銀行側としてはプロパー融資よりも保証協会融資を勧めたいわけです。

では借りる側、会社の経営者にとってはどちらが良いでしょうか?ここが重要です。借りることができればどちらでも良いのでは?と、考えてしまいそうですが、この2つには大きな違いがあります。

まず、保証協会融資では利子を払う他に保証料を払わないといけません。利子を払っているのに更に保証料まで負担しないといけないなんて、しかも融資を受けた時点で天引きされるので、ほんと納得いきません。保証協会に支払う保証料は、銀行ではなく債務者である企業の経営者が支払います。

ですので、銀行側としては貸付金が戻ってこないというリスクはほぼゼロであるため、少々経営状態が良くない企業でも銀行は保証協会融資をどんどん勧めてきます。保証協会の審査は必要ですが、審査基準はかなり緩いといえます。

復活の道を閉ざされる保証協会融資

審査は通りやすいですが、もしも会社が借入金の元本金利も払えなくなったときに最悪の事態が待ち受けています。そこで銀行との取引は終了し、銀行は保証協会から貸付金相当額を受け取ります。銀行は本来ならその先に取るはずの利息がなくなってしまうだけで、元本は保証協会から受け取れるので痛手なく終了ですが、企業経営者の債務は消えません。

債権者が銀行からサービサーに移ります。サービサーはその債権の回収を業務としますが、企業経営者は今後このサービサーと返済方法を話し合うことになります。サービサーは、下記の通り2つにわかれます。

保証協会融資・・・信用保証協会サービサーが債権回収
プロパー融資・・・民間のサービサーが債権回収

この2つには大きな違いがあって、民間のサービサーは返済できなくなった企業経営者に対して、話し合いによっては債権額の数%まで圧縮処理されます。ところが、信用保証協会サービサーの場合は、企業経営者との間で債権額の圧縮は一切されません。この違いがあまりにも大きいです。

民間のサービサーの場合は、相当に圧縮してもらい、何とか返済することでまた次に向かって新しい事業に取り組むことが可能です。しかし、信用保証協会サービサーの場合は債務が圧縮されず、自己破産しない限り永遠に返済は続きます。これでは自己破産してもしなくても明るい未来はありませんよね。

これが保証協会融資を極力避けたい理由です。保証協会融資は中小企業支援と言われますが、ダメになった企業も何千何万社と出ています。その元経営者は復活の道を閉ざされているのにどこが支援なのか、私にはわかりません。保証協会融資は入口は入りやすくても出口が出づらいのです。

因みに日本政策金融公庫で借りても、保証協会融資と同じになりますのでお勧めできません。可能な限りプロパー融資を狙いましょう。

プロパー融資を狙うためには

とは言ってもプロパー融資は簡単には出ないし、起業して間もない会社だとまず不可能に近いです。ですが、銀行によっても違いますので1行2行だけに頼らずもっと新たな銀行を開拓して、少額でもプロパー融資を承諾してくれる銀行を見つけるほうが得策だといえます。取引銀行は多いほうが良いです。

住宅ローンもそうですが、企業であれば融資審査に3期分の決算書の内容が重要になってきます。というより、銀行は普段の業務状況が良好なのか苦しいのか、調査するほど暇ではないので融資の判断材料として最も重要視されるのが決算書です。

粉飾決算はダメでも粉飾決算にならないように数字を調整して決算書を作成することは可能です。節税のためにこれでもかというくらい経費を落とし込んで利益を抑えようと決算書の数字を悪くしますが、融資を受けやすくするためにはその逆をしないといけません。

節税をするか融資の可能性を拡げるかの選択になりますが、出来る限りの黒字決算をしておくことで将来的に必要なプロパー融資も受けることができて事業が勢いづくのではないでしょうか。

そして起業したばかりでプロパー融資を受けられないとしても、いつもプロパー融資を受けることができないかと、念頭に置いておくことが大切です。そう思っておかないと銀行はいつまでも保証協会融資を勧めてくるからです。

私も過去を振り返ると、銀行と銀行の融資をもっと早期に勉強しておくべきだったなと、ちょっと手遅れ気味に反省しております・・・(苦笑)