お金持ちはなぜお金を金融機関から借りるのか?

保険・住宅ローン

お金持ちでも借金がいっぱいある人って世の中に大勢おられます。そんなに借金あっても大丈夫なのってくらい負債を抱えているお金持ちさん。莫大な資産を持っているのになぜわざわざ借入れを増やしてしまうのでしょうか?お金を持っていない人がお金を借りる理由は容易にわかりますが、お金持ちがお金を借りる理由、本当の目的は何なのでしょうか?

お金持ちは金利の動向を常に意識している

例えば住宅ローンですが、ほとんどの人は金融機関から家を建てるのに住宅ローンを申込みされます。申込む理由は、現金一括で家を購入することが出来ないから。そのため、何年もかけて分割で返済していくわけですよね。

毎月決められた額の元本を返済するのと同時に金利を上乗せして払わないといけません。仮に住宅ローンの借入れ額が3,000万円であった場合、金利が1.5%で返済期間を35年とすれば、月々の返済額は9万円強ですが、返済総額は3,857万円にもなります。

3,000万円の借入れに対して、利子が857万円も付く計算です。実際に35年の間に銀行に対して857万円ものお金を儲けさすことになるのです。手元に一括で家を買えるだけのお金がないために住宅ローンを組むわけですが、お金がないといっているのにその人から更にお金を取るのが金融機関です。

これは住宅ローンだけに言えることではなく、事業の資金繰りが大変で運転資金を借りる場合等、お金に困っている人が借入れすれば、金融機関は儲かる反面、利用者は益々苦しくなるのです。

では富裕層やお金に余裕のある人が家を購入する場合、現金一括で購入するのでしょうか?住宅ローンで利子が何百万と付くのに、一括で購入できる人が住宅ローンなんてするわけないですよね・・・と言いそうなところですが、そうでもありません。

お金持ちの人でも、住宅ローンは普通にされています。それは何故でしょうか?もちろん現金一括で家を購入される人もいますが、資産家や投資家、お金を運用することに長けている人から見れば、現金一括で家を購入するより住宅ローンを組んだほうが得な場合もあるのです。

特に現在は、住宅ローンに関しては金利がものすごく低いです。そういった人達は、この低い金利を利用しないで現金一括で家を購入するなんてあり得ない、と考えるのです。

仮に今、家を一括で買えるお金が現金で手元に3,000万円あったとします。資産運用が得意(好き)なお金持ちはその3,000万円を家の購入費に充てるでしょうか?絶対充てませんよね。家を買うための3,000万円は住宅ローンで引っ張ってきて、手元の3,000万円は住宅ローンの金利より高いところで運用に回すでしょう。

3,000万円を家の購入費に充てれば金利とか関係なく何も残らずゼロになりますよね。それに対して、手元の3,000万円を高い利率で運用し、3,000万円を低い利率の住宅ローンで引っ張れば、住宅ローンで支払う利子よりも運用で入ってくる配当のほうが大きくなるのです。

このように資産家や投資家、富裕層達は金利の重要性を知り、自分達のお金を運用する際に金利は必ずチェックしているのです。住宅ローンだけでなく、企業であれば借入れするのが運転資金なら益々苦しくなり、設備資金であれば益々儲ける方向に進みます。

ちょっと言い方悪いかもしれませんが、住宅ローンや事業融資は、お金のない人にとっては敵、お金持ちにとっては味方、なのです。

金利と時間は密接に関係している

投資や資産運用を考える上で「金利」は非常に重要な要素です。仮に金利の動向を制することができれば、お金を思いのまま動かすことが可能だと言えます。

金利とは、時間の猶予をもらうもの、という解釈を取ることができると思います。お金を借りた側からすれば、金利(利息)という手数料を支払う代わりに、決められた期日までは返済する必要がなくなり、その間にそのお金を運用することができます。

そのお金を運用、又は事業に投資することによって、借りた側は利益を上げる方法(可能性)を手にしたことになります。言い換えれば、金利を払って他者からお金を借りたということは、返済するまでの時間を買ったということです。そしてその時間をどれだけ有効に使えるかが重要になってきます。

もう少しわかりやすく言えば、企業の経営者が銀行から設備資金を借入れ、その借入れた資金を返済期日が来るまで設備投資することによってどれだけ儲けることができるか、ということです。お金を借りてもそのまま寝かしておけば、利息分だけ損をするので、そうならないように利息以上の利益を出さなければいけません。

では逆に、お金を貸す側にとってはどうでしょうか?自分のお金を他者に貸すと、その間自分のお金を運用したり、或いは消費したりすることができなくなってしまいますよね。これは、自分のお金を人に貸すことによって、そのお金を利用する時間を与えた、と言い替えることができると思います。

貸した側は、時間を与えた損失を埋めるため、対価として利息をもらいます。銀行やノンバンク等、貸した側はそれ自体がビジネスであったりするわけです。

お金持ちはこの金利が、時間という概念と密接に関係しているのを知り尽くしているからこそ、そこをうまく利用して儲けることが出来るのです。お金持ちでも金融機関からお金を積極的に借りるのは、そういった金利の仕組みを利用しているからなのです。